写真を買う

2週間ほど前に御茶の水のギャラリーbauhausまで写真展を見に行った。

(聖橋より)
聖橋を湯島の方向に渡って、10分弱歩いたところにある一軒家の素敵なギャラリー。


お目当ては、清家冨夫写真展「WEST PIER」
奥行きの深いモノクロームの作品が、一階と地下に約40点。


一階はロンドンで撮られたスナップポートレート
写真として作品としても素敵だけれど、それよりなにより撮られた人たちがこの写真を貰ったら間違いなく嬉しいと思う。
それが悲しい瞬間であったとしても、
それが嬉しい瞬間であったとしても、
撮られた側がその写真を嬉しいと思えるそんな写真が私は好きだ。


地下が今回のメイン展示。
ヴィクトリア時代の歴史的建造物である桟橋(PIER)の写真。
現在は廃墟と化したその姿が、深みのある美しいモノクロームの中に表現されている。
見た瞬間強烈なインパクトがあるわけではない。
でも見続けていたいと思う。
見ているうちに心の中から何かがわき上がってくる気がする。
柔らかい何かに包まれていく気がした。
何かこじゃれた事を言いたいけれどそんな力は私にはない。
ただただ好きだ、好きで好きでたまらないと思った。
写真という表現手段が持つ魔力を
モノクロームの世界が描き出す魔力を
清家さんの作品は見せつけてくれた。


一階と地下を繋ぐ階段の踊り場にまた魔法の写真が飾ってある。
その前を素通りすることが出来ない魔力を持っていた。
「いやいや」と呟きながら、一旦その前を立ち去るのだが、しばらくするとまたその踊り場に戻ってしまう。
私はその日はヒールの高いブーツを履いていたものだから、何度も往復する私の足音がギャラリーに響いていたらしい。
あとで一階にいたギャラリーの方に、
「あっ、それで何度も階段のあたりを往復されていたのですね。」と言われてしまう。
結局その魔力から逃れる事は出来ず、購入を決めた。
この写真を所有できる、それだけで幸せだと思った。

清家冨夫写真展「WEST PIER」
ギャラリーbauhaus
会 期 / 2008年2月5日(火)〜4月5日(土)
時 間 / 11:00〜19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料